「本当の自分を見せるのが怖い」
そんな感情にかられたことはありますか?
私は子供の頃から、ありのままの自分を知られるのが怖いと思って生きてきました。
どんなに仲良くなっても、明るく親切な自分を見せてきても、
関係性が深まるにつれて、本当の自分、すなわち性格が悪くて嫌な感情をもった自分を
知られたら恥ずかしいと思う気持ちが邪魔をして、
人と一定の距離を空けることが習慣となってしまっていたのです。
なぜ、こんなにも本当の自分を見せるのが怖いのか。
そもそも、本当の自分とは一体何なのか。
私なりに考察したことを、お話していきたいと思います。
「本当の自分を見せるのが怖い」とは
本当の自分とは一体、どのような人間なのでしょうか。
ここで言う本当の自分とは、他者が評価してくれる自分の姿ではなく、
自分自身で歪めてしまった「ダメな自分の姿」のことです。
私は、本当の自分は次のような人間だと考えてきました。
- 友達がいない。
- 得意なことが1つもない。
- 好きなことが何かもわからない。
一方で、周りの人達は次のような人物に見えていました。
- 友達がたくさんいる。
- 得意なことがある。
- 自分が好きなことを知っていて、それに情熱を注いでいる。
人と比べて自分は極度に魅力がない人間だと思っていました。
だからこそ、どんなに外面を良くしたとしても、
実際には何の魅力もない人間だと知られてしまったら、相手を失望させてしまうと思っていました。
いつも自分と周りの人を比較しては、
自分を否定し、傷付け、塞ぎこみ、
そんな根暗な自分をもっともっと嫌いになってしまっていたのです。
本当の自分を見せるのが怖い理由
ありのままの自分を見せるのが怖いと思う背景には、次の2つの原因があると考えています。
- 「自分はダメな人間だ」という自己否定の前提があること。
- 「ダメな人間は誰にも愛してもらえない」という強い思い込みがあること。
この2つの前提があるために、素直な自分を見せることに対する恐怖心が生まれるのだと思います。
「生きているだけで素晴らしい」と思うことができたならば、
「人間ならダメな部分があって当たり前。たとえダメな姿を見せたとしても、自分には愛される価値がある」と思うことができたならば、
本当の自分を見せることに対する恐怖心など、生まれなかったのではないでしょうか。
実際に周りを見渡せば、
成績が悪くても、仕事ができなくても、イライラすると人に当たってしまうなどの弱点があったとしても、
それを隠そうともせずに、周りから愛されている人はたくさんいますよね。
それなのに、
- 仕事ができない自分はダメ人間だ。
- 人見知りで根暗な自分はダメな人間だ。
- 可愛くなくて魅力がない自分はダメな人間だ。
と、ある一部の人間だけが自分を強く否定し、自分には価値がないと決めてしまうように思うのです。
なぜ自分を根底から否定するのか
一体誰が、
「あなたはダメな人間だ」と言ったのでしょうか。
「ダメな人間は誰にも愛されることはできない」と言ったのでしょうか。
そのような思い込みを生んだ人がいるとすれば、それはすなわち私やあなたの親であり、育った過程で周りにいた人々だと考えられます。
彼らは直接言葉にしなかったとしても、間接的な言葉や態度、普段の接し方から、私たちにそう思い込ませてきたのでしょう。
例えば、次のような育て方された人は、自分を強く否定する傾向があるように思います。
- 素直な感情を出すと怒られてきた人。
- 条件付きの愛情しかもらえず、無条件の愛をもらうことができなかった人。
- ダメな子だ、価値がない子だと言われて育った人。
私の場合は、小学生の頃に母から言われた言葉で、どうしても忘れられないものがあります。
私には兄と妹がいるのですが、なぜ私だけ怒られることが多いのかと、理解できずに母に聞いたことがあったのです。
その時に母から言われた言葉は、あまりにも理不尽でした。
「あんたは子供の頃の私に似てるから、イライラするの」
他にも似たような言葉や態度を、日頃から受け取っていたように思います。
「私は人をイライラさせる人間なんだ。」
「母から見た(良い子〉の資質を備えていないから、他の兄弟のようには愛されないんだ。」
無意識にそう思い込むようになってしまいました。
親との関係や育った環境が原因で心がむしばまれていたことを、その当時は知る由もなかったのですが、
ただ強い自己否定感と虚無感、孤独感で苦しい子供時代だったことはたしかです。
自分を偽ることにで起こること
本当の自分を見せずに生きようとすると、次のようなループに陥ってしまうことになります。
- 「このような人間が愛されるはず」と自分なりに空想した人物を演じ続けることになる。
- 関係性が深まるにつれて演技をし続けることに疲れて限界を感じ、人と距離を取ってしまうようになる。
- その結果、深い部分で人と繋がることができない人生を送ることになる。
私の場合はまさにこのループの繰り返しで、
小学校→中学校→高校→大学と進んでも、本当の自分を知られることの恐怖から、表面的な人付き合いしかすることができませんでした。
また、「自分はダメな人間である」という強い思い込みは、友人関係だけでなく恋愛にも強い影響を及ぼします。
友人関係が希薄であるために、「自分の全てを肯定してくれる存在」としての役割を恋人に全面的に求めるようになってしまうのです。
(母親に求めていた愛情を恋人に移転してしまった状態といえます。)
しかし全てを肯定し、許し、受け入れてくれるほどの恋人とはなかなか出会えるものではありません。
それに恋人に本当の自分を見せることができたとしても、「この人にまで嫌われたらもう終わりだ」という恐怖心は消えることがありません。
ありのままの自分を見せることへの恐怖心は、全ての人間関係に悪影響を及ぼしてしまうのです。
本当の自分で生きるためにできること
素直な自分で生きるために私たちができること。
それは、希薄になってしまっていた自分だけの価値観を取り戻すことではないでしょうか。
偽りの自分ではなく、本当の自分が心から好きだと思うことを思い出してみることが第一歩だと、私は考えています。
- 私は文章を書くのが得意だ。
- 私はたくさんの本を読むことができる。
- 私は自然に囲まれた場所に行くのが好きだ。
大して上手ではなかったとしても、自分が好きなこと、得意なことをポジティブな言葉で列挙してみる。
それを毎日、朝起きたときと夜寝る前に繰り返し唱えてみる。
偽りの自分で過ごすことをやめて、本当の自分が好きなことに時間を使ってみる。
そういった小さな訓練を積み重ねることが、ありのままの自分で生きるために必要だと思うのです。
本当の自分を人に見せるようになるために、
まずは「自分を否定しないこと」、「ダメだと思う部分も含めて愛すること」を毎日続けていくことから、大切にしていきたいと考えています。
まとめ
「本当の自分を見せるのが怖い」という恐怖心は、次の2つのことが原因で生じてしまいます。
- 「自分はダメな人間だ」という自己否定
- 「ダメな人間は誰にも愛してもらえない」という思い込み
しかしそれらは、あなたの親や周りの環境が植え付けた、何の根拠もない考えでしかありません。
まずはありのままの自分を受け入れいて、認めて、愛してあげてください。
あなたも私も、本当の自分の魅力に気づく必要があります。
素直な自分で生きることが、私たちの幸せへの第一歩となることを、願っています。
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